お客様本位の業務運営を実現するための方針
概要
ゴールドマン・サックスは、1869年に米国で創業して以来一貫して、お客様の利益を最優先に据えるとの理念の下、ビジネスを行ってまいりました。ビジネスの成功は、お客様に貢献して初めて得られると考え、全ての社員が誠実、信用、専門性といった原則を体現できるよう努めてまいりました。これらの原則を明文化したのが「経営理念」であり、ここに示された原則は企業文化として長らくゴールドマン・サックスの基盤となってきました。
お客様本位の原則を実践するために
ガバナンスの整備
お客様を意思決定プロセスの中核に据えた質の高い業務運営を維持するため、「クライアントおよびビジネス・スタンダード・コミッティー」を設置し、お客様へのサービスなどを見直し、それに基づく取組みを行っています。さらに、「リスク検討委員会」などが日本での業務を検証しています。
経営全体の俯瞰
取締役会や経営委員会が経営全体を俯瞰しています。当社経営陣はお客様本位の業務運営を確保するためのリーダーシップを発揮し、マネジメント層は業務計画の策定・実施・フォローアップに努めると共に、現場の社員はその実践にたゆまぬ努力を続けてまいります。
顧客本位の業務運営
金融庁が公表した「顧客本位の業務運営に関する原則」は、当社が掲げる「経営理念」と相俟って、真にお客様のためにより良い金融商品・サービスを提供するとの当社の姿勢をより一層強化するものと認識しています。「お客様本位の業務運営を実現するための方針」および当方針に関連する取組みの状況は下記をご覧ください。
「お客様本位の業務運営を実現するための方針」と「取り組み状況」
取り組み状況
顧客本位の業務運営を実現するための方針の策定・公表等(原則1に対応)
- 金融庁が2017年3月30日に公表、2021年1月15日に改訂した「顧客本位の業務運営に関する原則」は、当社が掲げる「経営理念」と相俟って、真にお客様のためにより良い金融商品・サービスを提供するとの当社の姿勢をより一層強化するものと認識しています。当社では、かかる観点から、金融庁が公表した「顧客本位の業務運営に関する原則および注記(以下、「原則」および「注」)」を十分踏まえながら、「お客様本位の業務運営を実現するための方針」を公表しており、以下に当方針に関連する取組みの状況を記載致します。
お客様の最善の利益の追求(原則2に対応)
- 当社では、経営理念に「ビジネス遂行上最優先すべきは、顧客の利益である」とあるように、お客様の最善の利益の追求を中核的価値観とし、日々の業務運営において営業部門のみならず全社横断的な行動指針としております。また経営陣と社員が対話を行う集会においても周知を図っております。
- 当社では、「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫を受け入れるとともに、スチュワードシップ活動に関する基本方針、当社が考えるスチュワードシップ責任についても公表しております。
- 議決権行使の結果について、概要とともに四半期毎の個別開示も当社ホームページ上に公表しております。
- 当社はグローバル金融市場での投資経験を活かし、お客様に資産運用サービスを提供しております。お客様が今日の大きく変化する市場を乗り切り、多様な資産運用ニーズにお応えできるよう上質な投資機会とサービスのご提供を目指し、努力してまいります。
- 顧客ポートフォリオのために取引を執行する際には、価格、手数料、取引の規模、リサーチ能力、サービス、執行タイミング、決済能力等の要素を考慮して取引の相手方を選択し、最良執行を追求しております。
- 当社は運用部門及び営業部門から独立したグローバルなリスク管理プラットフォームを構築しています。当社のコンプライアンス・リスク測定プロセスでは、特に規制当局が法的権限の異なる世界中の様々な地域にまたがり発令する、適用法令、規制、監督ルールに当社が違反するリスクを評価します。リスク測定の手法は、リスクを特定、算定し、優先順位をつけて報告が行われるよう策定されています。
- お客様本位の業務運営を行う意識をより定着させる目的で、半期毎に社内で行っている自己点検にて、各部署の業務と照らし合わせて確認を行っています。
利益相反の適切な管理(原則3に対応)
- 当社では、半期毎に社内で行っている自己点検にて、社員向けの理解度確認等を実施し、お客様の利益を不当に害することのないよう、自社内又は金融機関グループ内における利益相反のおそれのある取引を特定・管理するための管理態勢を整備しております。
- スチュワードシップ活動に関する基本方針においてもスチュワードシップ責任に関連した利益相反の潜在事例と対応策につき策定し、公表しております。
手数料等の明確化(原則4に対応)
- 当社では、投資信託の目論見書に購入時手数料や運用管理費用(信託報酬)等の手数料・費用に対してどのようなサービスが提供されるのかを掲載し、明確化を図るとともに、より分かりやすく、伝わりやすい開示を目指しております。
重要な情報の分かりやすい開示(原則5に対応)
- 公募投信においては、お客様の長期分散投資の実践に資するべく、ファンドの情報提供資料を積極的に作成しております。その際も分かりやすい情報開示を念頭においた資料作成、またグローバルな視点を重視したコンテンツ提供を実践しております。
- 当社商品に限らず、市場環境や資産クラスの特徴やポートフォリオにおける活用方法等に関する勉強会・セミナー等も継続的に実施し、販売会社経由での情報提供に注力しております。
- お客様への直接的な情報提供として、ホームページの情報をよりわかりやすく開示、提供しております。
- なお、当社は投資運用業を行っていることから、原則5の注のうち、注1、注3、注4および注5のみ該当し、注2については該当ありません。
お客様にふさわしいサービスの提供(原則6に対応)
- 商品開発にあたっては、グローバルと国内双方に厳格なプロセスがあり、運用戦略やファンドの仕組み、適合性を包括的に協議し、最終的に委員会において検討・決議を行います。各委員会では、業務・管理部門の承認が必要となっており、フィデューシャリー上の適合性に加えて、新商品の必要性・経済合理性も十分検討されるため、中長期的にお客様にふさわしいサービスを提供する前提での商品開発が実践されていると考えます。商品の組成に当たり、商品の特性を踏まえて、販売対象として想定する顧客属性を特定・公表するとともに、商品の販売に携わる販売会社においてそれに沿った販売がなされるよう適切な情報提供に努めております。また、重要情報シートについては、作成の際に必要な情報を販売会社に提供しております。
- お客様の資産運用ニーズに適切に対応するために、新商品の開発およびファンドの償還に取り組んでおり、下記の実績を有しています。また開発した新商品についてはホームページにおいてファンドの特集コンテンツ等を提供しております。
年 | 新規設定ファンド | 償還ファンド |
2021年 | 7本 | 1本 |
2022年 | 5本 | 5本 (うち満期償還 ファンド2本) |
2023年 | 6本 | 5本 |
注)公募投信の実績を掲載。新規設定ファンドのホームページでの情報開示例は別紙をご参照ください。
- 当社の「お客様本位の業務運営タスク・フォース」では、お客様の中長期の資産形成に資すると当社が位置付けているファンド(注)の状況、販売会社向け勉強会やセミナー実施状況、主要ファンドの運用状況等の検証(1年、3年の短期の検証期間に加え、5年、10年といった長期の検証期間での検証。信託報酬等のコスト控除後のリターンでの検証。)を定期的に行い、お客様にご満足いただける商品・サービスを提供し続けるよう議論・検討を行っております。結果については経営委員会、取締役会に報告しております。さらに、経営陣と社員が対話を行う集会等でお客様本位の業務運営の重要性を再認識する機会を設けるなど、当該運営方針の推進主体として機能しております。
注)お客様の中長期の資産形成に資すると当社が位置付けているファンドの定義:お客様の投資ポートフォリオの中核として、グローバルな中長期的な経済成長からの恩恵を享受することが期待されるファンド。なお、本定義は2023年3月時点のものであり、今後変更となる可能性があります。 - なお、当社は投資運用業を行っていることから、原則6の注のうち、注3および注5のみ該当し、注1、注2および注4については該当ありません。
社員に対する適切な動機付けの枠組み等(原則7に対応)
- 中核的価値観の強化については、年次の人事評価に項目を設けるとともに、社員に対する研修を実施するなど、継続的に周知を図っております。
- ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントではジュニアからシニアまで幅広い層を対象に様々なトレーニング・プログラムを提供しています。シニア・ポートフォリオ・マネジャーはチーム内のよりジュニアなメンバーの成長(スキルおよびキャリアの双方)に対して責任を負っています。トレーニングではOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が重視されており、運用業界での経験を通じてスキルアップにつなげております。
- ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントは社員こそが成功の鍵であると認識しており、優秀な人材を惹き付け、定着させることを常に目指しています。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントでは、グローバルかつ働き甲斐のある職場環境と、スキルアップのための土壌を提供しております。
お客様本位の業務運営の定着度合いを客観的に評価できるようにするための成果指標(KPI)
当社ではお客様本位の業務運営の取組みに関して、以下の4項目をKPIとして設定しております。
1. 公募投信において、お客様の中長期の資産形成に資すると当社が位置付けているファンドの残高が公募投信純資産残高総額に占める割合
2021年12月末 約79%
2022年12月末 約70%
2023年12月末 約73%
2. 主要なファンドおよびお客様の中長期の資産形成に資すると当社が位置付けているファンドの運用実績
ファンド名 | 純資産総額 | 設定年月 | 騰落率 (年率) | 標準偏差 (年率) |
---|---|---|---|---|
GSフューチャー・テクノロジー・リーダーズ | 3,143億円 | 2020年2月 | 14.75% (設定来) | 25.80% (設定来) |
GSグローバル・ビッグデータ投資戦略 | 1,254億円 | 2017年2月 | 16.23% (過去5年) | 17.84% (過去5年) |
netWIN GSテクノロジー株式ファンド | 10,488億円 | 1999年11月 | 23.17% (過去5年) | 20.89% (過去5年) |
注)2023年12月末現在、純資産総額1,000億円以上の公募投信(複数コースがある場合はコース残高を合計、限定追加型は除く)を掲載。設定年月は最も古いコースの年月を、騰落率および標準偏差は残高が最大のコースの値(3ファンドともBコース、為替ヘッジなしが該当)を掲載。騰落率は分配金再投資ベース過去5年年率換算、標準偏差は過去5年年率換算(設定来の期間が5年未満の場合はいずれも設定来年率換算)。対象ファンドは2024年3月時点のものです。今後変更となる可能性があります。
3. 販売会社および最終投資家向けの勉強会およびセミナーの開催件数
2021年 約2,300回
2022年 約2,250回
2023年 約2,245回
注)上記は、販売会社および最終投資家向け勉強会・セミナー件数の合計値。2019年以降は販売会社向けのメール配信や動画コンテンツを強化するなど、直接訪問に加えてデジタルを活用した情報提供の充実を図っています。
4. お客様本位の業務運営の取組みの実績としての公募投信純資産残高総額
2021年12月末 残高:2兆5,089億円
2022年12月末 残高:1兆8,625億円
2023年12月末 残高:2兆4,243億円